始業前点呼で事務所に居ると役員が同僚に声を掛けてきた。
役員;『賞与だが、多くのドライバーがマイナスだから、今回の支給はしない。その代わりに次回に含めて支給するから。』
歩合が大きなマイナスの我が身が居る近くでの具体的な金額を含めての会話は、聞きたくなくとも耳に入って来た。
私;<え!。そんなにも大きくプラス!?。何故に?。>
嫌な話しを耳にしての出庫。
そんな本日は初っ端から
私;『ここへの配車か。遠くではないね。』
しかし、
私;『あれ?。配車では「出ています」となっているが、いないぞ。』
漸く近所から出て来たのが若そうな女性の方。
私;『どちらまで?。』
お客様;『居酒屋XXXです。え~と、…。』
私;『XXXですね。』
お客様;『分かります?。』
私;『分かります。ありがとうございます。』
最近では滅多に遭遇しないお店へのご案内。
お客様;『私は、1年ぶりに吞みに出て来たのですが。』
私;『最近は、お客様と同じ様なお客様が多くなってきました。』
お客様;『そうなんですか。』
私;『当社では、まだ稼働台数調整をしています。私は、そんな関係で乗務する日数が減りお店を忘れることが多くなりました。』
そして、間もなくお店に到着と言う頃に、
お客様;『お店は、何処でしょうか?。』
と尋ねて来られた。
私;<あれ。このお客様は、お店を知らないのか。>
私;『あの明るく看板が出ているお店です。』
と、無事に現着。
私;『ありがとうございました。』
締めて約¥千円にて完結。
その後も悲しい単価の連続。
そんな時の配車は、
私;『ここのお店か。駄目だわね。』
とは思いつつもお店にお声掛けすると、
私;<駄目だ!。いつもの散々に待たせてのワンメの客だ。どうせ、近くの呑み屋だ。>
案の定、混み合う交差点近くで散々に待っての行き先は、
私;<ビンゴ!。>
それでも、会話は調子を合わせて笑顔でチケットにて完結。
私;<こりゃあ、今夜も運に見放されているね。>
その後も、同業他社のタクシーを含めての2台口でスナックに着けていると、
私;『いつも他社タクシーは、早く客が出て来るね。』
後から来た他社タクシーが先に発車して行ったが、我が客は相も変わらずに出て来ない。
すると、スタッフが出て来て、
スタッフ;『タクシーを呼んだ人が「俺は呼んでいない」と言って出て行ってしまったのですが。』
見事に不運続きのキャンセル。
そんな時に、先程の歩合がプラスの同僚が声を掛けて来た。
私;<あれ?。この調子では、今夜も私よりも数万稼ぎが上だぞ!?。>
かなり客層も良さそう。
私;<私は、貧相な単価ばかりだと言うのに。>
更に、我が気落ちを深めてのAM4時以降は客足もサッパリ。
その明け方、
私;『もう、この時間帯では配車も無いでしょ。』
と、日報を締め始めると、
私;『え?。この時間にこんな遠く(約7Km先)への配車?。』
だが、この朝の通勤時間帯は道路も混んでいる。
何とか現着すると、
お客様;『お宅の会社の人が「直ぐに行きます」と言うから家から出たり入ったりして散々に待ったの。』
とのクレーム。
私;『申し訳ありません。それは、当社の対応のミスです。お待たせして申し訳ありませんでした。』
状況を説明すると、
お客様;『直ぐに来れなければ、正直に言えば良いのに。』
何とか気を落ち着かせての目的の総合病院へのご案内。
道中、お客様の身の上話しをお聞きしながら、最後は笑顔で完結。
私;『ありがとうございました。』
これにて本日も疲れ一入にて帰庫。
そして、事務所で納期処理をしていると、
私;<やはり、今夜も同僚の売上の方が数万円上だ。しかし、毎回の惨敗。これは何かしら人手が介入しないと無理ではないのかな。>
更には、終業点呼をしていると、
班長;『次の勤務は、企業の新人教育が始まり朝夕の送迎で全車動員体制の為に、1時間早出&30分残業。』
嫌な気分に追い打ちを掛けてきた。
私;<タクシー協会全体で取り組めば良いのに。天下の愚策だよ。>
に気持ちが更に落ち込み、完璧に張り合いを喪失してイライラの帰宅。
本日の売上;ノルマの92%